
Bonjour🇫🇷
【Le petit Prince】=
サン=テグジュペリの哲学を消さないように意味の翻訳をしていきます。
子供にも大人にも深く響く物語です。
人間として大切なコトがたくさん詰まっています。
ぜひ、大人も子供も同じ歩幅で読み返してくれたら嬉しいです。
《1》『飛行士✈️』 〜L’aviateur〜
私は6歳の時、
心を動かす素晴らしい絵に出会った。
それは、私が知らない世界のジャングルのことが書かれた物語だった。
その本の中には、
ボアという巨大な蛇が、獲物を飲み込もうとしている恐ろしい絵だった。
その絵を真似して書いてみた。
🖼️《🐍蛇が獲物を飲み込んでいる絵》
この巨大な蛇は、
どんなモノも噛まずに、獲物をゴクンッと丸ごと飲み込む。
そうすると、
どんなモノでも巨大な蛇の体の中で
全く動けなくなってしまう。
そして6ヶ月もの長い間、眠り続け、
ゆっくりゆっくりと溶けていってしまうと、
その本に書いてあった。
私はそのジャングルでの物語を考えずにはいられなかった。
時間を忘れ、ずっと考えていた。
ふと、私は目の前の色鉛筆を持って、
その本に書いてあった恐ろしい巨大な蛇を
思い浮かべながら無我夢中で描いた。
そして、その絵を描き上げた。
これは私の人生で最初の1番目の絵だ。
1番目に私が描いた絵をあなたに見えるかな?
🖼️《人生初、1番目の絵=ボアに🐘ぞうが飲み込まれている怖い絵》
私は、この絵を大人たちに誇らしげに見せ、
ワクワクしながら
どれぐらい怖いかを聞いてみた。
大人たちは、表情をまったく変えず、
不思議そうな顔をして私に聞き返した。
『どうして?この帽子の何が怖いの?』
🖼️私は帽子などを描いていなかった。(君には見える?)
巨大な蛇が、大きなゾウを飲み込んで、
少しずつ溶けていっている恐ろしい絵を書いたのに大人たちには、帽子に見えてしまったらしい。
それで
仕方なく、私はもう一度描いた。
大人たちにもわかるように、
巨大な蛇に飲み込まれて
動けなくなってしまっているゾウの姿がはっきりと見えるように、今度は描いた。
大人たちは、いつも見えない部分の説明がないと理解ができない。
🖼️《私が仕方なく2番目に描いた、ゾウ🐘がみえる絵》
そうすると大人たちは、私の絵を見ようともせずに話し始めた。
私が描いた2枚の絵の違いに目を留めることもなく、
ましてや、そこに怖さを感じることもなく、
すぐ私に、
「こんな絵を描いているよりも、地理や歴史、算数、文法を勉強しなさい」と。
こうして
私は6歳のとき、人生初の夢だった画家をあっけなく諦めることになった。
私は1番最初に書いた絵と2番目に描いた絵を、大人たちは、見ようとも比べようともしなかった。
それは、見る価値がないと言われたようだった。
大人たちは、いつだって沢山説明されないと、
全く何も理解できない。
そして、
子供たちは、
大人たちに、
うんざりするくらい、何度も同じことを説明してあげなければいけない。
それでも理解できない大人たちに
子供たちは、
疲れ果てて何も話せなくなってしまう。
そして、
画家の夢を諦めた私は、
飛行機の操縦士という別の職業を選ぶことになり
操縦の仕方を学んでいった。
その後、
私は世界のあちらこちらを飛行機で飛び回るようになった。
大人が言ったように、
世界を飛び回るには地理の勉強は役にたった。
空の上から陸の形を見ただけで、中国とアリゾナを見分けることができた。
そして
夜の飛行中に迷子になってしまった時は、何も見えない真っ暗の中でも方角を確認することで
どちらに行けばいいか分かった。
飛行操縦士という職業には地理学というのは、役に立つことが分かった。
そうして、
私は流れゆく人生の中で
子供の絵などに見向きもしない、
理屈と常識を大切にする真面目な大人たちと
たくさん関わってきた。
彼らと共に時間を過ごし、
すぐそばでその姿を見て、話を聞き、言葉を交わし、観察をずっとしてきた。
しかし残念ながら、
私は大人たちを真似することができず、
同じような考えになることができなかった。
私は大人たちと出会うたびに、観察をやめなかったのは理由がある。
もしかしたら子供の絵に興味がある大人に出会うかもしれないと期待していた。
そして、
子供の絵を分かりそうな大人をみつけると、
いつも持ち歩いていた私が描いた最初の絵を見せることを繰り返した。
その大人が子供の絵を理解できるかどうかを試していた。
でも、
あの時の大人たちと同じように
何ひとつためらうこともなく私の絵をみて、
『その帽子がなに?』と冷ややかに言われた。
だから私は、
恐ろしい巨大な蛇の話も、ジャングルで生きた物語も、星の話も
何も大人に話すことはなかった。
そして
私はその大人たちの大好きなお金やゴルフ、政治や流行のつまらない話をした。
そうすると大人たちはみんな、
私のことをとても賢い人間だと判断し、上機嫌になった。
それが大人になるってことなんだと知った。
⇒📕L’histoire continue dans la partie 【2】⇒つづく

この文中の🖼️には敢えて絵を載せていません。
なぜなら、この物語は目に見えるものではなく、
目には見えないものを考え想像する大切さを静かに語りかけてくるからです。
あなたがが、色鉛筆をもって描いてみるのも素敵です。
近くにいる子供たちに描いてもらうのもいいかもしれません。
もし想像ができなければ、検索して見てきてください。
《星の王子さま 帽子 ゾウ 》で出てきます。
でも、みる前にどうか少しだけでも、あなたの頭の中で、
『帽子に見える、蛇がゾウを飲み込んだ絵』を浮かべてほしいです。
絵がなくても物語は感じることができます。
この翻訳は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリによる原作『Le Petit Prince』
(1943年、Éditions Gallimard)をもとにしています。
原文に書かれたフランス語の直訳は避け、言葉の奥にある温度、感情、哲学のようなものに丁寧に耳を澄ましながら、一つひとつの言葉を日本語として再構成することを目指しました。
文法的な正確さよりも、この物語の根にある人間の本質、そして沈黙のような部分を損なわずに届けることを大切にしています。これはいわゆる“専門的な翻訳”ではありませんが、長年『星の王子さま』を心の中で大切にしてきた一人の読者として、誠実に向き合った試みです。
サン=テグジュペリという人の眼差しと、彼が遺してくれたこの物語に、心からの敬意と感謝を込めて。
avec respect et gratitude, à Antoine de Saint-Exupéry. Traduction de sens:lane
🌹この物語は、【1】から【27】まで続きます。おたのしみに✍️
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