
Bonjour🇫🇷
【Le petit Prince】=
サン=テグジュペリの哲学を消さないように意味の翻訳をしています。
子供にも大人にも深く響く物語です。
人間として大切なコトがたくさん詰まっています。
ぜひ、大人も子供も同じ歩幅で読み返してくれたら嬉しいです。
👇《第1章》を読んでない方は、こちらから📕どうぞ。
【第2章】「星の王子さまとの出会い」🐏
こうして
画家の夢を諦めてから、季節は幾度と変わり
長い時間が過ぎた。
私は、どんな賑やかな人が集う場所でも、
ずっとひとりだった。
本当の気持ちを誰とも話すことなく、独りを感じて過ごしてきた。
ある日、いつものように飛行機を操縦していた。
突然、私の飛行機は故障して、どうにもならずサハラ砂漠に着陸した。
その飛行機に乗っていたのは、
私1人だけ、乗客も整備士もだれも居なかった。
だれも居ない砂漠、見渡しても何もない。砂だけの場所。
飛行機を修理しなければ、助からないと思った。
それは、死ぬか生きるかの事態だ。
私には、もうわずか数日分の飲み水しかなかった。
砂漠でのひとり、最初の夜、
砂の上で、絶望と共に疲れ果てて眠った。
海の真ん中で、小さなイカダで遭難するよりも、ずっと孤独で不安だった。
明日は生きているのだろうか。
私は私に問いかけるしかなかった。
その不安の中でも、朝は変わらずやってきた。
まるで何事もなかったかのように。
夜明けの光と共に、
小さな不思議な声に起こされた。
人が居るはずのない砂漠で声がした。
私の驚きを君は想像してみてほしい。
《君はその声がきこえた?》
その声は、私に向かってこう言っていた。
『ねぇねぇお願い!僕に羊の絵を描いて!』
思わず私は、耳を疑った。
そして聞き返した
『えっ?』
そうするともう一度、その声が聞こえた。
『僕に羊の絵を描いてよ!』
私は、雷に打たれたのかと思うほどに驚いて飛び起きた。
そして、
目を擦った。砂漠の上で幻を見ているのか?
はたまた、これは死後の世界なのか?
夢の中ではないかと疑いながらよく見渡した。
すると、
なぜか目の前に小さな男の子が立っていた。
こんな砂漠にありえないと思い、もう一度私はしっかりと見た。
私はその男の子の姿をしっかりと確認して
瞬きを忘れて見つめた。
ここは、到底人が住める場所ではない。
ここには、飛行機でしか来れない。人が居るはずがない。
自分が今どうしてここにいるのかを思い返して
熱い砂漠の砂を確認した。
でも目の前にいるこの小さな男の子は、砂漠に迷い込んだようにも見えなかった。
乗り物もない、なにも周りにない。
疲れているようにも、お腹が空いているようにも、喉が渇いているようにも見えなかった。
そして、
この何もない砂漠にいるのに不安な様子は全くなかった。
彼はそこにいるのが当たり前かのように存在していた。
私は、その男の子に向けて声をかけた。
『でも、君はそこで何をしてるの?』
すると、
彼はじっと私の顔を見て
ただ訴えるように、静かにゆっくりこう言った。
『お願いがあるんだ。僕に羊の絵を描いて。』
私は、今の状況をもう一度思い出しながら、目の前にいる男の子の姿を見つめた。
あと何日生き延びれるかわからない。
助けを求めることもできない場所にいる事は分かっていても、
男の子の言っていることを遮ることはできなかった。
そして、
自分がもうすぐ死ぬかもしれないと理解しながらも、
男の子の言葉に応えようとして、
ポケットから1枚の紙と1本のペンを取り出した。
でも
同時に思い出した。
私は大人たちに勧められたように、地理や歴史、算数や文法の勉強ばかりしてきた。
だから、
絵を描くことをあの日からしていないことに気がついた。
哀しい気持ちが言葉になって
『私は絵の描き方がわからない。』と言った。
しかし、
小さな男の子は、私の言葉を打ち消すように私に言った。
『大丈夫だから!僕に羊の絵を描いて!』
私は少し考えた。
今まで私の描いた絵は2枚しかない。羊の絵など描いたことがない。
6歳の時に描いた巨大な蛇が、大きな象を飲み込む《あの絵🖼️》と
その後に大人のために書いた象が見えている絵🖼️。
たったこれだけだ。
羊の絵を描く自信のなかった私は、巨大な蛇が大きな象を飲み込む1枚目の絵🖼️を描いた。
すると、
小さな男の子は、すぐ強い言葉を放った。
『違う違う!僕は巨大な蛇に飲み込まれた象なんていらないよ。
その巨大な蛇は本当に危ないんだよ。そしてゾウは大きすぎるよ!
僕の家はとっても小さいんだ。だから僕は小さい羊が必要なんだよ。早く羊の絵を描いて!』
彼の言葉に、とまどいながらも私は勇気を振り絞って、
描いたことのない羊を描いてみた。
その私の描いた羊を、彼はじっと見つめて、こう言った。
『これじゃだめだよ。この羊はひどい病気にかかっている。死んじゃうよ。別の羊を描いて!』
私は自分の描いた絵を見直し、彼の要望に応えようともう一度描いた。
しかし、
すぐに『この絵をよく見てよ。これは羊じゃないよ。角があるよ。羊は角がない動物だよ』
そう言われて、私は描き直した。
でも今度は、
『この羊は、年寄りすぎるよ。長生きする元気な羊が欲しいんだ。もう一度描いて!』
私は思わずため息が漏れてしまった。
ふと我に返った私は、飛行機の修理をしなければいけないことを思い出して
焦る気持ちと描けない葛藤を覚えた。
そして
羊ではなく、箱の絵🖼️を描いた。
そうして小さな男の子に説明した。
『これは、羊の入っている箱だよ。この中に君の欲しい羊が居るよ』
と言った。
そうすると、
一瞬で彼の顔がパッと明るく輝いた。
私は、びっくりした。
『すごい!僕が欲しかった完璧な羊だよ。ねえ。この羊は草を沢山食べると思う?』
と聞いてきた。
『どうして?』と私は聞き返した。
『だって僕の星は、とっても小さいんだ…』
不安そうに応える小さな男の子に、私は言った。
『大丈夫だよ。
君の欲しがっていた小さくて元気な羊だから。』
彼は、もう一度、私の描いた箱の絵をじっくりと見ながら、
『でも、この羊そんなに小さくもないよね?あっ。僕の羊、眠っちゃったよ。』
と嬉しそうに言っていた。
こうして私と小さな星の王子さまと出会った。
⇒📕【3】⇒つづく
この翻訳は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリによる原作『Le Petit Prince』
(1943年、Éditions Gallimard)をもとにしています。
原文に書かれたフランス語の直訳は避け、言葉の奥にある温度、感情、哲学のようなものに丁寧に耳を澄ましながら、一つひとつの言葉を日本語として再構成することを目指しました。
文法的な正確さよりも、この物語の根にある人間の本質、そして沈黙のような部分を損なわずに届けることを大切にしています。これはいわゆる“専門的な翻訳”ではありませんが、長年『星の王子さま』を心の中で大切にしてきた一人の読者として、誠実に向き合った試みです。
サン=テグジュペリという人の眼差しと、彼が遺してくれたこの物語に、心からの敬意と感謝を込めて。
avec respect et gratitude, à Antoine de Saint-Exupéry. Traduction de sens:lane
🌹この物語は、【第1章】から【第27章】まで続きます。
おたのしみに✍️
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